EC売上が6年で4倍!パレモのアパレルECが伸びた要因と成功施策
株式会社パレモ
執行役員 営業企画部長 吉富 一政 様
営業企画部 NET担当ブロック長 平野 一仁 様
営業企画部 Webディレクター 赤羽 真梨子 様
レディースアパレルや雑貨の専門店を277店舗(※1)運営している株式会社パレモ。アパレルEC事業を強化するため、2018年に株式会社AMSと契約し、自社ECサイトのリニューアルやフルフィルメント体制の整備、ささげの品質向上、複数モールの在庫一元化などに取り組んできました。その結果、6年でEC売上高が4倍以上に拡大するなど、大きな成果を上げています。同社がEC売上を飛躍的に伸ばした方法とは。EC部門の皆さまにお話をうかがいました。(※1:2024年2月期末時点の店舗数)
INDEX
Z世代向けファッションブランド「ノエミー」が業績をけん引
株式会社AMS カスタマーサクセス部 山本(以下、AMS山本):はじめに、貴社の事業概要やECの取り組みについて教えてください。
吉富様:弊社はレディースアパレルや雑貨の小売りを行っています。実店舗での販売を主体としており、アパレル事業は116店舗、雑貨事業では161店舗を展開しています(※2024年2月期末時点)。
アパレル事業では約20年前からECを手がけてきました。服をオンラインで購入する消費者が増えたことに対応するため、ファッションECモールに出店したのが始まりです。
その後、2014年に自社ECサイトを立ち上げました。ECモールの出店数も増やしており、現在はマルイウェブチャネル、楽天ファッション、ショップリスト、アリノマ、マガシークなどで販売しています。
株式会社パレモが運営しているアパレルECサイト「PALEMOBA(パレモバ)」。
ラージサイズブランド「Re-J & SUPURU(リジェイ アンド スプル)」や
量産型・地雷系ブランド「NOÉMIE(ノエミー)」など4つのブランドを販売している。
AMS山本:アパレルECの売上高が伸びていますね。
吉富様:2024年2月期におけるアパレル事業のEC売上高は、前期比14.5%増の5億7千万円でした。2021年に発売したZ世代向けのファッションブランド「NOÉMIE(ノエミー)」がEC事業をけん引しています。
アパレルECの売上高は6年で4倍以上に拡大した。「NOÉMIE」がEC事業をけん引している。
AMS山本:「ノエミー」がヒットした背景には、商品開発における新しい試みもあったとうかがいました。
吉富様:はい。ECサイトの販売データを分析してヒットの芽を発見し、ブランドコンセプトやデザインに活かしました。
2020年から2021年にかけて、「パレモバ」の購買データを分析した結果、いわゆる「量産型・地雷系」と呼ばれるファッションカテゴリの服がZ 世代を中心に売れていることがわかりました。そのことを手がかりに「ノエミー」の商品化を決定。レビュー分析なども行ってインサイトを深掘りし、ブランドコンセプトやデザインを決めました。
スモールスタートでブランドを立ち上げて、売れ行きを見ながらSKUや販売チャネルを広げてきたのも「ノエミー」の特徴です。
発売当初はSKUを絞り、ECサイト限定で販売していました。ECでヒットの手応えを掴んだことから、商品ラインナップを拡充するとともに、2022年10月に東京・原宿の竹下通りに路面店を出店しました。原宿店の売り上げが好調だったことを受けて、2023年6月に大阪市内、2024年3月には横浜市内にも出店しています。
株式会社パレモ 執行役員 営業企画部長 吉富 一政 様
2018年のEC再構築をきっかけに成長が加速
AMS山本: EC事業が伸びた要因を、どのように分析していますか?
吉富様:さまざまな施策を打ってきた結果だと考えていますが、要因を1つ挙げるとするならば、EC事業の土台をしっかり固めたことが、その後の売上拡大につながったのだと思います。
弊社は2018年にEC事業の再構築に着手しました。組織変更やスタッフの増員、ECシステムの刷新、商品構成の見直し、EC運営業務のアウトソーシング化など、EC事業を抜本的に見直す改革です。
AMS山本:弊社と契約してくださった年ですね。
吉富様:はい。EC事業を再構築する一環で、AMSとの協業も開始しました。
2018年9月にクラウド型ECプラットフォーム「PRAMS EC」を導入して自社ECサイトをリニューアルし、サービスや機能を大幅に強化しました。同時に、「PRAMS EC-HUB」も導入して自社ECとECモールの在庫データを一元管理しています。
ささげ(撮影/採寸/原稿)や在庫の保管、梱包・出荷、返品対応、カスタマーサポートといったフルフィルメント業務もAMSに委託しました。きめ細かいサービスを高いレベルで提供するとともに、1日あたりの出荷可能件数を増やしたかったからです。
こうした取り組みによってECを伸ばす土台が整い、販促施策を思い切って打てるようになりました。また、フルフィルメントをアウトソーシングしたことで、商品開発やブランディングといったコア業務にリソースを集中できています。その結果、EC事業の成長スピードを上げることができました。
「在庫一元化」「注文処理の自動化」「ささげの委託」が売上拡大のポイント
山本:弊社との協業において、売上拡大への効果が特に大きいのはどの施策でしょうか。
平野様:効果が大きい施策の1つは「在庫一元化」です。
「PRAMS EC-HUB」で自社ECサイトとECモールの在庫を一元化した結果、在庫の偏在がなくなり、売り逃しを防げるようになりました。以前は、自社ECサイトに在庫が残っているのにECモールでは欠品するなど、ECサイトごとに在庫が分断されていて機会損失が頻発していたんです。現在はそういった機会損失もなくなり、EC事業全体の売上アップにつながっています。
また、「注文処理の自動化」も効果がありました。ECサイトの注文情報が自動的に倉庫側へ送られるので、作業効率が劇的に向上したのはもちろんのこと、出荷までのリードタイムも短縮できています。以前はECサイトごとに注文データをダウンロードし、手作業で倉庫側に送っていたので本当に大変でした。
ささげをAMSに委託したことも売上拡大につながりました。AMSは物撮り(商品単体の撮影)や採寸を大量にさばける大規模設備をお持ちなので、スピード感を持って商品情報を作成できます。AMS側で商品画像やサイズ情報を、ささげ管理ツール「PICO」にアップすると、ECサイトの商品ページに反映されるので商品登録の手間も削減できました。
山本:サイト運営や在庫管理などを自動化・効率化するとともに、フルフィルメント体制を強化したことが、ECの売上拡大につながっているのですね。
平野様:おっしゃる通りです。
ECサイトの売上高を伸ばすには、商品ラインナップの拡充や広告運用、SEO、Web接客、コンバージョン率を高めるサイト改善など、多岐にわたる施策を継続的に実行しなくてはいけません。弊社は自社ECサイトを立ち上げた当初から、こうした課題認識を持っていました。
ただ、2017年以前はECサイトの注文処理や在庫管理、梱包・出荷などの体制が十分に整っていなかったこともあり、販促のアクセルを思い切って踏むことができませんでした。
私自身がECの現場で10年以上働き、仕組みを作ってきたからこそ痛感しているのですが、EC事業を伸ばすには「売上アップに耐えうる運営体制」を整えることが重要だと思います。
株式会社パレモ 営業企画部 NET担当ブロック長 平野一仁 様
AMSを選んだ決め手は「アパレルEC支援の総合力」
山本:EC事業のパートナーにAMSを選んでくださった理由を、お聞かせいただけますか?
吉富様:アパレルECに関わる業務を包括的にサポートしていただける総合力が決め手になりました。
EC支援を手がけている会社はたくさんありますが、ECサイトの構築からサイト制作、ささげ、物流、カスタマーサポート、返品対応まで、すべての業務を高いレベルで代行していただける企業は希少です。
EC運営を1社にお任せすれば各業務がスムーズに連携できますし、窓口は山本さんに一本化できるのでコミュニケーションコストも少ない。しかも、AMSはアパレルに特化しているだけあって、アパレル業界の商習慣やビジネスモデルをしっかり理解して動いてくださいます。
弊社は実店舗を主体とした小売企業なので、在庫管理や物流をECに最適化するには、さまざまな課題をクリアしなくてはいけません。そういった弊社の課題を踏まえて、本質的な解決方法を提案してくださるAMSは、頼もしいパートナーです。
AMS山本:ありがとうございます。私たち担当スタッフへの率直な感想も、ぜひお聞かせください。
赤羽様:山本さんをはじめ、スタッフの皆さんが親身に対応してくださるので心強いです。ECサイトの運営で課題が出てきたとき、山本さんに相談すると、解決策を一緒に考えてくださいますよね。マニュアル通りの対応に終始するのではなく、その都度、柔軟に対応してくださるのは、とてもありがたいと思っています。EC事業でやりたいことは、まだまだあります。これからも色々と相談させてください。
株式会社パレモ 営業企画部 Webディレクター 赤羽真梨子 様
さらなる飛躍へCRM強化。海外展開も視野に
AMS山本:最後に、EC事業の抱負をお聞かせください。
平野様:先ずは閲覧・購買データにもとづくMA運用、次いでECと店舗をシームレスに融合して顧客LTV向上に繋がるOMO施策を強化したいと考えています。そのためには実店舗とECの各種データを統合してCRMを構築する必要があります。簡単なことではありませんが、EC事業をさらに高いレベルへと進化させるために、着実に実行していきたいです。
吉富様:「ノエミー」の海外展開も視野に入れています。日本のファッションに興味を持つ海外の消費者は少なくありません。「ノエミー」の原宿店は、欧米やアジアなどからの観光客の売り上げがとても大きいんです。海外のお客様にも商品を届けるため、越境ECの本格化などを検討していきたいです。
山本:パレモさんが今後取り組んでいく新しいビジネスも、ぜひサポートさせてください。本日はお時間をいただき、ありがとうございました!