前年比130%超のEC売上を3期連続で記録し続ける、アパレル企業の転機と今後の戦略
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前年比130%超のEC売上を3期連続で記録し続ける、アパレル企業の転機と今後の戦略

アパレル不況と呼ばれる昨今において、2016年4月のECシステムリプレイス以降のEC売上が3期連続で前年比130%超えを記録し続けている株式会社キャン。その躍進を支える要因や背景、経緯、今後の展望などについて、キャン社のブランドビジネスを長年に渡り牽引してきている営業統括本部の阿部部長にお話を伺いました。

株式会社キャン

株式会社キャン
取締役
営業統括本部長兼カジュアル事業部
部長 阿部 和則 様

システムリプレイスが必要だった、消極的なEC事業期

―システムリプレイスが2016年4月で、私が御社を担当させていただくことになったのが、リプレイスの約3ヶ月前です。
本日はまず、私が担当をさせていただく前のことからお伺いしたいと思います。リプレイス以前の御社のECシステムの運営状況についてお聞かせください。

阿部様(以下、阿部):2011年頃のことですが、すべて自前からのスタートです。ECに強い人材を連れてきたわけでもありません。見よう見まねでした。ただ、時代的に他社のEC売上も上がってきている状況で、弊社としても見過ごせないと。

―あまり積極的ではなかったということでしょうか。

阿部:積極的ではないというよりも、当時、小売業界は、店舗ありきでECを拡大すると店舗の売り上げを圧迫するという考え方が一般的で、特に現場サイドはそうだった思います。

―当時のEC売上はどれほどの規模だったのでしょうか。

阿部:当初は年間2億円の達成目標でしたが、すぐに達成できたので次は5億円を目指そうと。それでもキャン社全体売上の数%程度でしたので、ECへの積極的な投資という選択肢はありませんでした。当時のベンダーは、システム自体の耐性が売上上限5億円程度の規模だったため、システムを無理矢理カスタマイズして運用していました。

―大きくしようとしても、できない事情があったということですね。運用していく中で、どのような課題がありましたか?

阿部:セールでサーバーがダウンするという以前に、通常の状態でもダウンすることがしばしばありました。今のご時世では考えられませんが、当時はダウンしたら自然にサーバー負荷が減るのを待ったり、施策を消極的にするなどお客様のアクセスを回避して、しのいでいました。

―そのような状況でも、リプレイスということにはならなかったんですね。

阿部:当時は、ECがどれくらい売れるのか、正直予測がつかなかったです。経営側としても、効果予測がわからないものにいくら投資すべきか判断のしようがなかったですね。

―そうした状況の中、ベンダーさんからはどのような提案があったのでしょう。

阿部:今までは特に積極的な提案はなく、こちらから意見を言って対応してもらうという流れでしたが、現在、AMSと一緒にECをやっていると、「売上を一緒に伸ばしていこう」といった気持ちが能動的な姿勢=アクションとしてみえていることに驚きを感じました。

―倉庫など物流面では、どのような課題があったのでしょう。

阿部:倉庫においてはリアル店舗のみのキャパシティーだった為、新たにEC用に在庫を増やした分だけ倉庫のキャパシティーを増やさなければという課題がありました。

―「ささげ」なども、自前で行なっていたのでしょうか。

阿部:複数のささげ業者に依頼していたので、リードタイムもコストもかなりかかっていました。実際、倉庫に入ってからECサイトへの商品アップまで2週間ほど。その間、店舗でヒット商品となると、ECでの販売準備が整った段階には在庫がないということもありました。

―売上規模としては、全体の数パーセントでありながら、手間とコストが意外にかかっていたということですね。

システムの能力を最大化した“ヒトの力”

―では、システムリプレイスに至る経緯についてもお伺いします。

阿部:2013年に弊社が株式会社ストライプインターナショナル(以下、ストライプ社)グループとなったのですが、当時、ストライプ社がAMSのECプラットフォーム「PRAMS」でオムニチャネル化を促進していました。時を同じくして弊社としても、当時のECシステムや運用キャパシティーがあらゆる面で限界だと感じていた状況で、新たなシステムやベンダーを探していたのです。

―AMS以外にも、他社ベンダーとコンタクトはあったということですね。そうした中で、なぜAMSをパートナーとして選んでいただけたのでしょうか。

阿部:ECに関して、それまでの弊社の事業体制やシステム、ささげ、物流とあらゆることが限界に達していました。その点、AMSはフルフィルメントで対応しているということで大きな魅力を感じました。それまでは、各セクションとフェーズごとに個別の取引先との業務連携が発生していたので、その窓口をAMSで一本化できるのは魅力でしたね。

その中でも、決め手は何と言っても〝ヒトの力〟じゃないでしょうか。弊社オフィスは、ストライプ社と同じフロアですが、あちらはAMS担当者が常駐しており、しっかりとストライプ社のEC部門に深く入り込み、二人三脚で「売上を伸ばそう」と同じ方向を向いているのを見ていました。それで、「このベンダーさんは、ここまでやってくれるんだ」と、この会社となら売上の向上を目指して一緒にやっていけそうだと思いました。

―ありがとうございます! AMSの社風として“まずはお客様と一緒に”という姿勢があります。先輩からは、「とにかく片足突っ込んで、目線も姿勢もパートナーに合わせることが大事だ!」とよく言われます。当時まだAMSに入社して間もない私としては、とにかく無事に御社のECサイトをオープンさせるため、がむしゃらにやらせていただいたという感じでした。

阿部:一般的にベンダーや代理店と言えば、あくまでもそれぞれの自社メリットを前提として弊社事業を「一歩引いて」「俯瞰して」捉え、外部としての立ち居振る舞いをされます。それは当然のことですし、確かに正論ですが、果たしてそれがビジネスにおける信頼やお互いの発展に繋がるかといえばそうではないと考えています。

その点、AMSは弊社と同じ目線でブランド側の悩みや疑問を直視して共感し、自分事として向き合ってくれます。それこそ、片足を突っ込むだけではなく、チームの一員として、時には全身全霊で社内の課題に突っ込んできてくれます。

正論だけ振りかざすのではなく「悩みや疑問に共感共鳴してくれる」からこそ、信頼が生まれ、売上向上という結果に繋がるわけです。弊社サイドの現場メンバーを中心に、その効果は当初から強く実感しています。今となってもAMSをパートナーに選んだことはとても良い選択だと思っています。

踏み込んだ提案が、勝機を掴む

―改めて、そうお話しいただくと、うれしい反面、恥ずかしくもありますが、実際に私も色々と提案をさせていただきました。

阿部:覚えているのは、麦島さんから「何をやるかではなくて、何をやらないか」という話をされた時です。ECでは、様々なツールやサービスが乱立していて、ブランドの中にいると、常に目移りしてしまいます。実際に導入してから、「これ本当にやる意味あった?」となることがよくあります。その点、AMSはEC業界での経験が豊富なパートナーとして、半歩先を示して牽引してくれる〝伴走力〟が心強いです。麦島さんからの提案には、いつも納得感が強かったですからね。

―阿部さんが覚えている、印象的な提案などはありますか?

阿部:ありますよ。麦島さんにWeb広告費のムダを指摘されました。それで広告費の見直しを図った結果、パフォーマンスが落ちることなく、販促費のコスト削減も実現しました。

―まさに「何をやるかより何をやらないかの方が大事」の典型例でしたね。

阿部:しかも、ムダの指摘で終わるだけでなく、「その分をこちらに投資した方が成果を期待できます」という代替案も提案してくれましたよね。それこそ他社の販促費ですかね、そこまで本音で口出ししてくる人は見たことがありませんよ(笑)。

―それだけ信頼感が強いということでよろしいでしょうか(笑)!私が印象に残っているのは、御社のECサイトへの集客についてです。以前の御社では、集客施策としてメルマガのみを実施運用されていた状況でした。私からはSNSの活用を提案させて頂きました。

阿部:そうです。以前の弊社ECサイトはSNSからの流入はほぼゼロでした。その点は麦島さんからも再三指摘されていましたが、弊社にはSNSの運用が得意な人材がいませんでした。そこで、麦島さんがSNSに知見がある方を弊社向け担当として付けてくれて。運用から半年経たずに、明確な効果としてコンバージョンも上がっています。

既にあるものを変えるのは、どのベンダーさんでも上手くできるかもしれません。でも、まず最初に課題を気づかせてもらい、解決や向上に向けた提案をしてくれてさらにサポートもしてもらう。まさに0から1を作る作業ですから、そこを切り開いてくれることは本当にありがたいことです。

対前年比売上130%を実現した理由

―実際にシステムリプレイス後、「PRAMS」での運用が始まった当時の印象もお聞かせください。

阿部:今でもよく覚えているのが、初日の売上です。リプレイスが完了して、2016年4月20日にサイトをオープンしたのですが、半日で2,000万円を売上げました。

―すごかったですね。AMS社内でもざわつきました。

阿部:その後も現在まで、対前年比で3期連続130%の売上増を毎年達成しています。そもそもAMSに期待していたことが、ECの拡大に伴う「フロント機能」「インフラ」「物流」など、事業基盤におけるフルフィルメントサービスでした。その点は、豊富な実績と知見がありましたし、実際にリプレイス後にはシステムと物流が安定し、それらが柔軟に機能している事で、お客様に対するサービスレベルが向上しました。このことで販売機会の損失は無くなり、顧客満足度の向上にも寄与し、対前年比130%の売上増に繋がっているのだと思います。

―AMSの「PRAMS」については、どのように評価されていますか?

阿部:ECサイトを運用するにあたり、AMSが提供している「PRAMS」のようなサーバー上で運用する「SaaS型」と、自社専用のシステムを構築する「フルスクラッチ型」があります。フルスクラッチ型はイニシャルコストがかかりますが、毎月の運用コストが抑えられ、利益率が高いです。一方、SaaS型は毎月、売上に応じた手数料が発生します。
ただし、フルスクラッチ型はOSのバージョンアップやサーバーのリプレイスとなると、またお金をかけて構築しなければいけません。それが「PRAMS」の場合には、アップデートをAMS側で行なっているので、弊社=利用者側に負担はありません。

一時期、EC界隈ではフルスクラッチ型が流行りましたが、今はSaaS型が盛り上がっています。そういう状況の中、AMS「PRAMS」はSaaS型でありながら、弊社の要望を実現するために、かなりの努力をしてくれます。つまり、自由度の高いフルスクラッチとOSのバージョンアップなどに対応しやすいSaaSのいいところどりなんですね。言うなれば、カスタマイズができるSaaSといった感じです。

倉庫のBtoBtoC化を達成したシステムの連携力

―現在、御社が取り組まれていることについてお伺いします。御社では、倉庫のBtoBtoC化に向けて取り組みを進めていらっしゃいます。その点についてお聞かせください。

阿部:今は業界的にたくさんモノが売れる時代ではなくなってきました。そこでアパレル事業者の課題となってくるのが在庫効率です。店舗向け在庫とEC向け在庫を別々で持つと、それなりの量を持つ必要がありますが、その倉庫を一箇所に集約すれば店舗向けとEC向けで在庫を一元化できる。そうなれば、在庫効率を最大化することができます。

―現在、御社のBtoBtoC倉庫化に向け、物理在庫も在庫情報も一元集約フェーズを迎えています。弊社としては、御社倉庫のWMS(在庫管理システム)との連携についても、これまでの豊富な外部システムとの連携実績から、スムーズで安心な連携開発を達成できたのではないかと思っています。

阿部:その通りですね。弊社側が導入していたWMSとも「PRAMS」は迅速に連携してくれました。次のフェーズで、店舗在庫とEC在庫の完全一元化を完遂したいと思います。

―最後にキャン社としての今後の展開についてお聞かせください。

阿部:弊社も会社設立から2019年で55周年を迎えました。主力ブランドの「Samansa Mos2」も33年になります。今アパレルで33年も継続しているブランドはそうありません。なぜ、そこまで長く続いたかを考えると、手前味噌ではありますが、世の中の変化に対応しながらも、やはり常にお客様と向き合い、ブランド世界観の軸をぶらさず、明確に持ち、発信し続けてきたからだと思います。「このお店に行けば、想い描いているものが必ずあるという安心感とブランドの世界観が味わえる」という居心地の良さがあるのではないかと。ですから、これからも時代の流れには対応しながら、醸成してきたコンセプト・世界観を発信し続けていくことが私たちの使命だと思っています。

―ありがとうございました。

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