OMO時代でも商売の基本は変わらない。「五適」で事業を俯瞰、統一的に
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OMO時代でも商売の基本は変わらない。「五適」で事業を俯瞰、統一的に

MD(マーチャンダイジング)の基本となる「5つの適正」

突然ですが、「五適」という言葉をご存じだろうか?

小売業に従事していればご存じの方も多いだろう。MD(マーチャンダイジング)の基本となる「5つの適正」を表したものだ。

具体的には「適時」「適品」「適量」「適所」「適価」のこと。売り上げと利益を最大化するためには販売時期、商品、在庫量、販路・売り場、価格がそれぞれの関係性において、適正かどうかが問われる。また、5つの順番も重要性で語られることが多い。こちらは所説あって、企業や個人によって違いはあるが、筆者としてはこの順番に意味があると思っているし、もう少し深く言えば、相互の関連性が重要だと思っている。

一番重要なのは「売れる商品だろう=適品」という人も多いと思う。しかし、流行りが一般化するよりも早い時期にトレンド商品を投入してしまって売れなかった、なんてことは良く聞く話だ。逆に売れ筋を追加生産したが量が多過ぎたり、値下げのタイミングが遅かったりして、売れ残れば利益を減らすことになる。最近では残暑が続いたり、いつになっても暖かくならずに寒暖の時期がずれるなど、MD計画を組むのに苦労することは多い。適正な時期にマッチした商品を過不足なく準備して、手の届く場所に割り振り、買いやすい価格で販売する。まさに商売の基本だが、「言うは易く行うは難し」だ。

OMOでも「五適」を応用

以前は小売業のチェーン理論の「MDの基本」として語られる事が多かった「五適」だが、ECという新しい販路でも同じことが言えるし、販路が広がったことで複雑化していると言える。OMO(オンラインとオフラインの融合)時代においては、倉庫、店頭、ECの在庫を統合して、どこからでも引き当てられることが理想だ。同じ商品でもセール時期に店頭とECで価格が違ったり、販路別でクーポンを使い分けたり、販売手法も多様化している。こうしたことに対応するには「事業を統一的に俯瞰して考える」ことが重要になる。場当たり的や部分最適では後々、システムやデータ活用で齟齬が起き、システムダウンや意図しない課題、問題が起こってくる。

デジタル化、DXは時代に求められた進化であり、対応は必須だろう。だがその前に、「事業の基本的な設計」ができていないと、その根幹となるデータの活用さえ、ままならなくなる。どんなにデジタル、DXが進んでも、事業にはいくつか基本となる考えがある。どんな時代でも基本を理解し、応用することができなければ、売り上げ、利益の最大化はできないだろう。


執筆:株式会社繊研新聞社 窪田勉
繊研新聞社 業務局所属。編集記者・営業として30年以上のキャリアを持ち、アパレル業界をはじめ、セレクトショップやSPAに至るまで幅広く取材を担当。ZOZO TOWNの立ち上げからEC関連の取材に本格的に取り組み、特集の企画・開発にも尽力。現在はEC・DXに関連するプロジェクトに注力している。

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