仮説・ショッピングバッグ理論 ~ショッピングバッグで考察する 店舗売上の見定め方~
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仮説・ショッピングバッグ理論 ~ショッピングバッグで考察する 店舗売上の見定め方~

あのブランド店舗はどのくらい売上があるのだろう?そう考えたことはないだろうか。どうしたらその店舗の売上が分かるのか、店舗から出てくる買い物客への考察をもとに、仮設ではあるが店舗の売上を推計する方法をご紹介していきたい。

買い物袋の数や大きさで店舗の売上高を推計

学校で数学をなぜ学ぶのか?に対する一つの解だと思っている。若かりし頃、ジーンズカジュアルチェーンが急速に成長し、郊外ロードサイド、ショッピングセンター、都心部へと広がっていった時代の事である。とてもお世話になった、あるチェーンの常務から「初日売り上げの10倍がその店の初年度売り上げ」と聞いたことがある。今は時代がかわり、「開店前に列ができる店」もめっきり減ったが、当時の熱狂が懐かしい。

その時、気になったのが、初日売り上げをどう算出するかだ。自分なりに「売り上げは客数×客単価だから」と色々考えたものである。客数をさらに分解すると、レジ数×平均レジ通過時間だったりする。例えば10分間に1台のレジで処理できるレジ通過件数は何件か?×6で1時間、×営業時間×レジ数で1日のだいたいのレジ通過人数=客数が見えてくる。客単価はその店の平均商品単価、例えば品揃えからTシャツの平均価格は2900円、ジーンズは5900円と推察し、レジに並ぶお客様のカゴに何点入っているか、もしくはショッピングバッグの大きさで、あれはトップスしか入ってないな、あれは複数点買ってるな、と見ることができる。こうしてセット率(一回の買い物で何点買っているか)や客単価が見えてくると、客数×客単価で、その日のおおよその売り上げが算出できるのではないか。

ちなみに1年後、ある旗艦店の初年度売り上げを教えてもらうと、売り上げ予測はほぼ合っていた。

売上予測を応用し店舗やECの課題を深堀り

つまり仮設・ショッピングバッグ理論とはショッピングバッグを見て、その店の売り上げを予測するのだが、あの店はどれくらい売るんだろうか?から、その先が見えてくる。売り上げは予想より多いのか少ないのか?から始まり、大きいショッピングバッグを持っているのはファミリーが多い。バッグを持たないで買える人が多くないか?などだ。ファミリーが予想より多いなら仮設駐車場を作ったほうが家族連れは来店しやすいとか、バッグを持たないで帰るのはレジ待ち時間が長いからあきらめてしまうので、レジ台数を増やそうとか、になる。さらに年間の出店数、平均店舗売り上げなどが分かれば、その企業の売り上げが見えてくる。上場企業であれば、総売り場面積から月坪売り上げ(売り場3.3平方㍍の月間売り上げ)や、地代家賃がわかると一店舗当たりの平均売り上げと家賃で店の効率も見えてくる。これをユニクロやしまむら、青山商事やAOKI、ユナイテッドアローズなどと比べると、業態の違いが見えてくる。

「新店の年間売り上げ」から、かなり話が広がったが、分解し、計算し、比較することで前年との違い、自分の立ち位置や他社との違い(強み・弱点)、次につながる課題と対策などが見えてくる。

ECも実店舗も小売業、商売にはこうした理論を見つけたり、分解して前年や他者と比べたり、計算して予測したりが欠かせない。“ショッピングバッグ理論”といっても日常やっている事をもう少し細分化したり、見方を変えたり、何かを加えたりすることで、精度が上がったり、うまくいかない原因が見えてきたり、施策を立てられたりするのではないだろうか?

学生時代にならった四則計算、因数分解、集合などはこのためだったのか、と思いつつ、今回のお話とさせて頂きます。


執筆:窪田 勉
繊研新聞社業務局所属。32年間、編集記者、営業を担当し、アパレル、セレクトショップ、SPAなどを担当。ZOZOTOWNの立ち上げからEC関連の取材を本格化。特集などを企画開発する。約4年前に独立した後もアパレル産業とITを結ぶ仕事に従事し、広報・営業のコンサルティングや大学での特別講義、取材・ライティングなどを行う。今年5月、繊研新聞社に復職し、EC・DXに関連した活動を継続中。

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