CASE STUDY 2020.01.06
我が社にとってのAMS
〜AMS CASE STUDY vol.7〜

経由売上288億円、導入ブランド700超
アパレル業界に新たな文化を生み出した
「STAFF START」勝利の方程式
〜株式会社バニッシュ・スタンダード〜

株式会社バニッシュ・スタンダード
代表取締役
小野里 寧晃 様


(聞き手)
株式会社AMS
EC事業本部 Creative solution課 課長
五十嵐 大樹

コンテンツ経由売上288億円(2019年8月現在)を達成しているアプリ「STAFF START」。販売員のモチベーションを維持する仕組みは、どのように生まれたのでしょうか。アパレル業界のみならずサービス産業全体から熱い注目を浴びる、「STAFF START」の生みの親であるバニッシュ・スタンダード社の小野里寧晃社長にお話を伺いました。今回の聞き手である、AMS社EC事業本部の五十嵐大樹は、小野里氏の前職時代に同じWEB制作会社に所属していました。久しぶりの再会を喜びあった後、話はさっそく本題へと移っていきました。

多くの販売スタッフが「STAFF START」を選ぶ最大の理由

 ―久々の会話の皮切りで思いきり持ち上げるつもりはないですが、AMSクライアントでも、すでに多数の企業様でバニッシュ・スタンダードのコーディネートアプリ「STAFF START」を導入いただいています。

 小野里様(以下、小野里):そうですね、AMSとの協業によって、マークスタイラー株式会社、株式会社ストライプインターナショナル、株式会社パレモ、株式会社エルベン(エゴイスト)、株式会社ジャパンイマジネーションといった企業で導入されていますね。

 ―業界ではすでに知って使っている人も多いと思いますが、改めて「STAFF START」についてどのようなアプリなのかご説明いただけますか?

 小野里:「STAFF START」は、おかげさまで多くの企業からお声がけをいただいていますが、そういった企業や他業種の方からどのように言われているかというと、「新しい市場と、新しい文化を作ったサービス」と言われています。というのも、「STAFF START」によって何が生まれるかを簡単に言うと、販売員の給料が上がるということなんです。

 販売員がデジタル上で行う、コーディネート投稿やInstagramなどのSNSとの連携といった“デジタルな接客”業務を「STAFF START」が簡易化し、そのデジタル接客を経由した売上や評価を可視化して、販売員に返すことができます。つまり、店舗での売上も、その販売員のコーデ経由のEC売上も、その販売員自身の評価になるわけです。頑張れば頑張っただけ、自分の評価、つまり給料のアップにつながるわけですから、販売員はモチベーションを高く維持しながら、店舗とECの売上に向けて働くことができます。

―実際に大きな売上をあげている販売員もいると聞きますが、具体的な実例を教えていただけますか。

小野里:月に3,400万円を売上げた販売員もいます。それから1回のコーディーネートの投稿で520万円を売上げた販売員もいますね。何より、地方の販売員の奮闘がすごい。地方は平日昼間の買い物客が少ないですから、その時間をコーディネートの投稿に当てられる点が功を奏したのでしょう。「STAFF START」を始めると、販売員のフォロワーがものすごく増えるので、社内にインフルエンサーを作ることができるわけです。そこからECの売上も伸びるわけです。でも、僕が今一番驚いているのが、販売員の出勤表のInstagram投稿です。

「STAFF START」で見えてきた、本当のオムニ化

―出勤表の投稿によって、どのような変化があったのでしょう。

小野里:販売員が人気になると、お客様から「会いたい!」と言われるんです。そのための出勤表投稿なんですね。僕もずっとオムニチャネルを追求してEC業界で仕事をしてきました。その中で、パーソナライズが大事と言ってきましたが、最近ではパーソナライズと言っても、結局は人が人を呼んでいるんだと思うようになりました。

今はAIに大きな期待が寄せられていますが、これだけ情報が溢れる時代にあって、“あなたの好きなタイミングで、あなたの好きな情報が手に入る”と言われても、そんなタイミングなんて正直ありません。すでに情報でお腹いっぱいですし、それにモノだってひと通り持っています。

―だからこそ、大切なのは“ヒトの力”ということなんですね。

小野里:そういうことです。信頼する人をSNSでフォローして、その人の情報を信じて、それを行動につなげる。アパレルであれば、店舗に行けばその人がしっかり接客をしてくれますし、信頼する人にパーソナライズされるわけです。つまり、人が人を呼ぶということです。

―その結果、「STAFF START」は大きな実績を挙げていますね。

小野里:はい、おかげさまで「STAFF START」コンテンツ経由の年間売上はサービス開始からおよそ3年で288億円(2019年8月現在)に達し、導入ブランド数は700ブランドを超えるまでに成長しました。

販売員の目線で見えてきたこと

―「STAFF START」を開発するにあたり、どのようなことを目的としたのでしょう。

小野里:第一に考えたのは、販売員が元気にならないと、店舗は盛り上がらないということです。EC市場が伸びていくと言われる時代にあって、店舗は沈み始めていましたから。「STAFF START」を始める以前、販売員はコーディネートを専用のアプリに投稿しなければいけないし、その他でインスタもブログもやらなければならず、相当疲弊していました。

しかもそれは本社、EC事業部側からの半ば強制的なもので、販売員にも“やらされている”という感覚が強かったんです。それに加えて、本社側は、店舗の在庫もECの在庫も、「それも全て企業の在庫」という言い方をしますが、現場の販売員には伝わりません。というのも、販売員にすれば、ECをお客様に紹介しても店舗や個人の売上にはならない、むしろ店舗顧客や売上をECに取られるようなイメージが強かったからです。

―一般的に、店舗とECの仲が悪いという話を聞くことがあります。

小野里:まさにその原因は、販売員がEC売上に貢献しても評価されない事で、販売員が店舗からのEC送客や売上を食い止めてしまうという構図に繋がっていたわけです。しかし、それが「STAFF START」によって解決しました。販売員は、店舗において色やサイズの欠品があった場合でも「STAFF START」経由でEC在庫を販売することができ、その売上は個人の評価体系に反映されます。これにより、店舗とECにおける売上と評価のサイクル相関が浮き彫りとなり、オムニチャネル化は販売員の目線に立った課題抽出と設計を前提としないと実現不能なことが明白になりました。

―AMSの「PRAMS ORDER」も全く同じ販売員目線での開発前提ではじまり、同じように売上と評価のサイクル相関があります。オムニチャネルのキーポイントはまさしくココにありますね。

サービスを生み出したのは、卓越したEC事業の企画力

―小野里さんは、前職で私がはじめてお会いした時からすでにEC業界にいらして、長らくEC事業での実績を積み上げた後、「STAFF START」というサービスを生み出しました。その発想力がどこから生まれたのかについても教えて頂きたいのですが、かつては六本木などでDJをされていたそうですね。

小野里:大学を中退して、初めて行ったクラブで衝撃を受けてDJになろうと。渋谷や六本木でDJをしていましたが、自分の能力ではDJで生きていくのは厳しいので諦めました。しかし引き続きモテたくて今度はデザイナーになろうと、WEBデザイナーを目指したんです。そこからデジタル系の専門学校でWEBデザインを学び、就職活動の際には300社に落とされたんですが、1社だけ老舗のWEB制作会社から「うちへ来い」と言われたんです。

最初はWEBデザインでもなく、社長のかばん持ちや雑用ばかり1年ほどやって、ようやくWEBディレクターになりました。それからは会社に寝泊まりして、寝ないで仕事をして、力を付けていったんです。結果、当時としては異例とも言える25歳での部長昇進を果たし、その頃からECに深く携わり始めました。

―そうですよね。その後、WEB制作会社を退職されて、ECベンダーとして独立されたんですよね。

小野里:28歳で独立して、バニッシュ・スタンダードを立ち上げました。結果として、EC事業としての経営はなかなか難しかったんですが、ECシステムをクライアント毎にフルスクラッチで開発し、フルフィルメント事業にも取り組んでいました。ただ、その経験があったからこそ、「STAFF START」も生まれたんだと思っています。

というのも、僕のことをよく“営業力がすごい”と思っている方が多くいますが、僕自身はプロデューサー、企画屋だと思っています。実際、「STAFF START」のアイデアも含め、800本以上の企画を持っています。

―そういった企画はどのようにして生まれるのですか?

小野里:やっぱり現場が好きなんですね。今でも僕自身は現場で誰よりも多く働きますし、たまに徹夜もします。それはやりたいことがあるからです。それから、遊ぶ仲間も現場で働いているような、ごく一般的な友達です。「STAFF START」もそういう友達との会話の中で、「販売員はツライよ。こっちはECに売上を持っていかれてさ、それに比べてEC側のお前はいいよな」と言われたことがキッカケでした。その時に、アパレルに限らずこれからの小売事業は、販売員がもっと元気に楽しく仕事を出来るような仕組みでないといけない、という発想が生まれました。

あらゆるものの根底にあるのは“ヒトの力”

―小野里さんは「STAFF START」の開発にあたり、販売員という現場の“ヒト”を第一に考えたということですが、AMSも全く同じスタンスです。ECならびにオムニチャネル事業におけるシステム開発やソリューションの業務設計、デバッグ、アップデートについても、常に店舗側=販売員の意見を最大限尊重することで、より良いサービスを生み出しています。

小野里:それに加えて、AMSはクライアントの要望をきっかけにして、クライアントが思っている以上に正しい方向に気持ちよく持って行ってくれますよね。言うなれば、クライアントが向かうべき道に導いていますよね。そこは、見ていて気持ちがいいくらいです。

―ECフルフィルメントを事業軸の1つとしている点からも、AMSは御社と似ています。それは、優秀なシステムがあったとしても、それを上手に運用しアップデートしていく“ヒトの力”が大切だということです。AMSの場合、EC事業に必要な全業務区分にプロパーのスタッフがいます。つまり、自社でECの全てを内製しているアパレル企業はありますが、その企業が持っている課題やニーズのほぼ全てが可視化でき、ある程度のプライオリティや有益性なども推測出来ます。だからこそ、その企業の要望に対して、何でもかんでも「やります」とは答えません。

小野里:それは正しいですね。無駄なことはしない方がいいですから、クライアントのためにもなります。余計なお金を払わなくていいわけですから。でも、それはなかなかできることじゃありません。EC /オムニ事業の広い領域に跨りながら細部に渡って熟知していないと判断できませんから。だからこそ、AMSは頭のいい集団だなと思います。

それに、クライアントからの要望に対して、ダメなものを完全にダメとは言わずに、代替案や是正の提案で返すという大人の対応力があります。要望を拾った上で、正解に導いてくれますからね。

―それができるのは、クライアントとの関係において、御社と同じく“ヒトの力”を活用して、クライアントの事業全体を、クライアントと同じ目線で捉えて自分事とするスタンスを社として徹底しているからなんです。

小野里:まさに内助の功と言えますね。事業においてそこまで牽引力のある人がいるAMSは、クライアントにとって心強いですよね。システムもさることながら、人が強いという印象です。

業界が注目する小野里氏が見据える、これからのアパレル

―今やアパレル業界以外からも熱い視線を集める小野里さんですが、アパレル業界のこれからについて、どのようにお考えでしょうか。

小野里:アパレル業界の売上のうち、85%という市場が実店舗であるという絶対的な前提条件から、大切にすべきは販売員だということです。販売員によって85%の市場を良くすると。しかも、店舗にはアパレル企業の90%の社員がいるわけです。そこを盛り上げられるか盛り上げられないかだと思います。

少し厳しい言い方かもしれませんが、僕はECのことを“自販”=自動販売機と表現することがあります。自販には365日24時間、自分の手元にあるという利便性はありますが、自販でブランド品を買えますか?と。

昨今アパレル業界でも、AIなどの先進的な技術を活用したツールやソリューションが星の数ほどリリースされています。ただ、ネットや仮想をいくら表現しようとも、ブランドというものは世界観であり、やはりリアルなんです。対面で、その場所で、そこに行かないと伝わらないものです。ブランドを作り上げる店舗を潰してはいけません。

―では、店舗はどうあるべきだとお考えでしょうか。

小野里:かつてのように、お店に入ることすら恐縮してしまうような、イケてる販売員、バリバリに世界観を持った人たちが販売員をやる時代に戻してあげればいいんです。今は評価に応じてお金を渡してあげないと、そういう販売員は戻ってきません。だからこそ、本部に儲けが蓄えられるような仕組みではなく、大きな市場を持っている販売員に行き渡るべく、販売員の年収が1,000万円になるようにしなければいけないと思います。

―最後に一言お願いします。

小野里:みなさん、「STAFFSTART」やAMSのように現場=売り場をもっと大事にしましょう。我々はどんな状況にあっても、今後も小売業の「現場」を大事にしていきます。

―全く同じくのスタンスと意見です。

今日はありがとうございました。引き続き、色んな現場を盛り上げていきましょう!

 

【株式会社バニッシュ・スタンダート】
本社所在地:東京都港区西麻布3-1-16
設立:2011年3月
代表者: 代表取締役社長 小野里 寧晃
事業内容:STAFF START事業全般の運営
コーポレート:http://www.v-standard.com/
STAFF START:https://www.staff-start.com/