CASE STUDY 2019.07.29
我が社にとってのAMS
〜AMS CASE STUDY vol.5〜

業界初のファッションサブスクリプション 「メチャカリ」が
AMSプラットフォームで実現できた理由
〜株式会社ストライプインターナショナル〜

株式会社ストライプインターナショナル
メチャカリ部
部長 澤田 昌紀 様


(聞き手)
株式会社AMS
EC事業本部Retail solution部RS1課
課長 日暮 嘉美

2015年9月に業界初となるファッションのサブスクリプションサービス「メチャカリ」をリリースした株式会社ストライプインターナショナル。同社では、2016年に事業領域を新たに「ライフスタイル&テクノロジー」と定め、従来のアパレルメーカーという概念からの進化拡張を目指している。その中でも「メチャカリ」は、進化の過程で重要なポジションを占めるサービスである。以前、本コンテンツにおいてEC部門マネージャーとして「ストライプクラブ」のモール事業展開について取材し、現在は「メチャカリ」責任者として本サービス立ち上げから事業牽引している、メチャカリ部の澤田昌紀部長にお話を伺いました。

業界初となるファッションサブスクリプションで実現すべきこと

―澤田さんは、ストライプインターナショナル社へ入社される前には、アパレルとWeb業界でのご経歴をお持ちでしたよね。

澤田様(以下、澤田):新卒で入社したのが、A Bathing Apeを展開するアパレルメーカーである株式会社ノーウェアで、7年ほど販売から企画、生産まで幅広く経験しました。その頃(2010年以前)は、アパレルECはそこまで盛り上がってはいませんでした。ただ、私自身Webに魅力と将来性を感じていたこともあり、異業界へ転職を決めてゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)でECキャリアをスタートしました。

実は、GDOに入る前、自分でもECサイトを作って運用していたことがあるんですが、サイト構造やタグなどを改善することで、週に1件、2件とコンバージョンが上がっていくことにすごく面白みを感じたんですよね。それができる仕事、会社で働きたいと思ったんです。

その後、2013年に当社に入社し、以来、ECの責任者を経て、現在はメチャカリの責任者をしています。

―2013年は、貴社が自社ECサイト「ストライプクラブ」をスタートさせた年。そのタイミングからAMSがパートナーになったわけですが、当時ECサイトに求めていたものはどのようなものだったのでしょう。

澤田:まずは、セールなどの強大なトラフィック発生時でもダウンせず、膨大な量のEC販売に耐えられるインフラが求められていました。また、当時は店頭の会員ポイント制度がまだリライタブルカードでの運用でしたので、顧客情報とポイント情報を店舗とECで統合する必要もありました。

―数あるベンダー提案の中でも、AMSをパートナーとして選んでいただいた理由についてもお聞かせいただけますか?

澤田:AMSさんのコンサルティング力と知識の豊富さには安心感がありました。それに何より、営業の方がアツイんですよ。熱意がすごい。他社の方々からももちろん熱意は感じましたが、AMSさんの場合には我々と一緒にやっていこう、そして成功させよう、という強い想いが全面に出ていましたね。

今でもよく覚えていますが、何社かお声掛けした中で、AMSさんも当社でプレゼンしてくださいました。AMSの方々が帰られた後、社内では検討会議をしていました。疑問点を確認するためにAMSさんに電話をしたら、なんと間髪入れずその日のうちに、もう一度当社まで来てくれたんですよ。

―実は弊社営業は貴社付近で待っていたんですよ。プレゼンの後で会議をされるということを聞いて、これは絶対にもう一度相談があるぞと。近隣のカフェで待っていたら澤田さんからの電話が鳴り、さぁ行こう!と。

澤田:あの時は、すぐに解決したいと思ってご連絡したので、本当に助かりました。AMSさんは過去に当社よりも規模の大きな企業のリプレイスならびに連携開発などの実績もお持ちでしたし、非常に頼れる存在でした。

新しいビジネスが生み出された理由

―2015年9月には、業界初となるファッションサブスクリプションサービス「メチャカリ」を開始されました。当時、「メチャカリ」を立ち上げた背景には、貴社としてのどのような方針があったのでしょうか。

澤田:当時は全社売上が1千億円を超えた頃で、その先、売上を拡大して例えば1兆円を目指すとしたら、既存のアパレルメーカーのやり方では達成しないだろうと。そこで、事業領域をライフスタイル&テクノロジーと定め、アパレルだけではなく、テクノロジーを取り入れて進化拡張していくことになりました。

当時、国内外でシェアリングエコノミーが広がりを見せており、様々な業界でIT企業によって既存の業界がディスラプション(破壊)される、ということが起こっていました。いずれアパレル業界にもその波が来るのであれば、業界の外からやってくるIT企業ではなく、アパレルメーカーである我々がアパレル業界と共存する形で、テクノロジーを取り入れた新しいビジネスを展開していく必要性を感じていました。

―そのような背景があり、ファッションのサブスクリプションという新たな分野を構築されました。立ち上げ前の貴社の石川康晴社長とのお話を聞かせていただけますか。

澤田:代表の石川からは、DVDや自動車のように新品の販売、中古品の販売に加えて、レンタルを行っているビジネスモデルはどうかと言われました。自動車であれば、新車を生産し販売、その後のメンテナンスから中古を買い取り販売するというように、川上から川下までを一括してグループで事業を展開されています。

これに対し、一般的なアパレルメーカーは製造から販売までです。でも、販売した先には、実は中古買取・クリーニング・二次流通という大きな市場があります。そこまでを1つのメーカーがやらないのはなぜだろうという大きな疑問がありました。アパレルにも、そういう会社があってもいいのではないかと、石川からは言われました。そこで、私からは今の「メチャカリ」によるアパレルのサブスクリプションというビジネスモデルを石川に提案したわけです。

―ファッションをサブスク化することで、消費者のファッションに対する向き合い方にも変化を促したいという想いもありましたよね。

澤田:はい、その思いもありました。昨今、若者の洋服離れと言われています。どうすれば若年層に当社のブランド、ファッションに今よりもっと親しんでいただけるのかを考えると、月額5,800円(税別)で新品の洋服が借り放題(※)というサービスはきっと受け入れられるという仮説がありました。ファッションのサブスク化により、若者の洋服離れに歯止めをかけたいと考えたわけです。

※一度に手元における点数は3点まで。別途返却手数料380円(税別)/1回あり。

新規ビジネスを広く認知させる2段階の方法

―「メチャカリ」のサービス開始は、世の中に非常に大きなインパクトを残したと思いますが、どのようなマーケティング戦略をお持ちだったのでしょうか。

澤田:サービス開始後、業界内外でとても話題になりました。一方、この新規性の強いサービスがすぐに万人に受け入れられるとは考えていませんでしたから、インパクトを重視しようという方針がありました。代表の石川の肝いり事業ですし、初めからマス広告を実施して普及させたいと。

具体的な施策としては、国民的アイドルを起用して話題性を持たせたいと考えていました。そこで、欅坂46をデビュー前に起用して、デビュー曲の『サイレントマジョリティー』を「メチャカリ」のテレビCMで世間に対して初めてお披露目しました。大型のアイドルグループのデビュー曲発表がテレビCMですから、案の定話題にのぼり、朝の報道番組に始まり様々な番組で取り上げていただきました。

それぐらいインパクトが大きいことをしないと、ファッションのサブスクリプションという新規性の強いサービスの認知は広がりません。もちろん、テレビCMをやっているだけではサービスの内容自体は理解されませんが、まずはブランドの認知を高めることを狙いとしました。

―ブランドが認知された次のフェーズである「サービス理解」のために、貴社がとった方法を聞かせてください。

澤田:動画の活用です。実は、ある有名なユーチューバーが、「●●を使ってみた」という形で「メチャカリ」を自ら取り上げてくれたんです。そしたら、その日にものすごい数のアプリのダウンロードがあり、入会数が増えたのです。正直驚きました。その時までは、動画はプロモーションの1候補と考えていましたが、サービス理解には動画だと気付きました。新規性が強く、これまでの習慣を変えるようなサービスは動画で説明する必要があるんだと。それ以降、ユーチューバーの方達に投稿を依頼し、同時に弊社でもサービス紹介用動画を作成し、YouTubeにアップするなどしていきました。

ですから、テレビCMでは、当初はブランド名の「メチャカリ」を覚えてもらい、2017年からは「ファッションもサブスク」というコピーを入れて、ファッションのサブスクリプションサービスであることを伝えました。そこから、「メチャカリ」の認知が高まった段階で、サービスを説明する動画を用いてさらにサービス内容を深く知っていただくという2段階の戦略を実施しました。

「メチャカリ」に不可欠だったシステムの条件

―「メチャカリ」はサービスの認知もさることながら、システムを構築する上での課題や制約も想定されていましたが、その解決に向けた取り組みを聞かせてください。

澤田:ファッションのサブスクなんて、当時は前例もないですし、周りからの理解も得られません。「メチャカリ」は新品を貸し出して、戻ってきたら新古品として「ストライプクラブ」で販売するというビジネスモデルです。しかし、そもそも二次流通の知見が当社にはありませんでした。その際、当時のAMSのCTOで本プロジェクトのフロントだった眞下さんが、前職で培った商品コードの考え方をベースとした「PRAMS(※)」プラットフォームを活用した提案をしてくれました。

※「PRAMS」:AMSが独自開発し提供しているECシステム/オムニチャネルプラットフォームの名称です。

その中でも、当社にとってやはり一番解決が難しいと危惧していたのは、お客様から戻ってきた商品を再販売する二次流通の仕組みです。ここが通常のECサイトにはない概念でしたからね。

―その点、「PRAMS」の商品コードの基本定義は、1品番に対して枝番を付与して管理可能。そこが「メチャカリ」にマッチしたということですよね。

澤田:そうですね。通常、中古品は個体の状態差がある為、中古品A、中古品B、C、D……と、1点ずつに品番が与えられます。その上で、1点1点に値付けして、それぞれで「ささげ」も行い、「ここにダメージがあります」ということをやらなければなりません。つまり、中古品1点ごとに商品ページが必要なんです。でも、それでは事業の収益化が難しい。なんとか、管理しやすい形で採算が取れる方法はないかと考えていました。そこをAMSさんが具現化してくれたんです。

当社の中古販売では、同じ商品であれば品番は1つで管理できるのです。その品番には枝番が付与されていて、先ほどのA、B、C、Dといった各中古品がそこに紐づいているわけです。つまり、商品ページとしては1ページで済むわけです。あとは、品番単位で在庫管理ができるようになっているんです。

―そのように中古品のステータス管理ができなければ、「メチャカリ」というサービス設計そのものが難しかったかもしれませんよね。

澤田:お客様から戻ってきた商品に1つずつ品番をつけて管理していたら、事業の収益化はできなかったでしょうし、そもそも「メチャカリ」は事業として成立しなかったと思います。もちろん、時間とコストを無限にかけられればできるでしょう。でも、先行優位性がものをいう新規事業では、あまり時間はかけていられないしコストももちろん抑えなければいけない。このような状況の中、しかも、1つのプラットフォームでできるというのは、本当に奇跡的ですよね。

―AMSがシステムだけでなく、物流の深く広く細かい業務まで熟知していたという点も無くてはならない点でしたね。仮にシステムを構築したとしても、貸し出しから戻ってきた商品を、どのように再生して、再びロケーション管理して販売していくのか。そこをワンストップに業務設計して総合的に提案導入できたことは、それまで世の中に存在しなかったECサービスを数ヵ月という短期間でリリース可能とした、肝かもしれませんね。

澤田:その通りですね、ある程度システムのパッケージが決まった会社や各種業務について外注で回している会社では、そもそも業務として受けてくれないと思いますよ。こんな複雑な業務フローの設計からとなると、なかなか対応できませんからね。

思い描く将来像

―今後「メチャカリ」が目指す、ライフスタイル&テクノロジーはどんなものですか。

澤田:「メチャカリ」は、まだ十分ではないものの、これまでの取り組みにより一定の認知が得られています。一方、まだ市場ではファッションのサブスクリプションというサービスが浸透しているとは言えない状態です。「メチャカリ」では新品のみを取り扱っていますが、「レンタル=中古」という既成概念も強い。このため、引き続きブランドとビジネスモデルそのものの認知向上を図り、ファッションサブスクリプション市場の拡大を目指したいと考えています。

同時に既に1万3,000人のサブスクライバー(月額有料会員)がいるので、こうした顧客に対するパーソナライズ強化も進めています。1人ひとりの趣向に最適な洋服、コーディネートを提案するということです。2018年10月には「パーソナルスタイリング AIチャットボット」という、AIを活用し対話形式で洋服がレコメンドされるサービスを開始しました。

―どのような狙いがあるのでしょう。

澤田:「メチャカリ」は当初若年層を顧客ターゲットとして想定していたのですが、調べてみると実際には忙しく働いているビジネスウーマンや、子育てで忙しいママさんにも多く受け入れられていることがわかりました。

身だしなみはきちんとしなければいけないけれど、忙しく、イベントや仕事用の服を買いに行く時間がないとか、子供の参観があるので綺麗な恰好をしていきたいなど。こうしたニーズに対し、「メチャカリ」なら新品の洋服がアプリで簡単に注文できて、クリーニング不要で返却した洋服はそのまま二次流通に回る。着なくなった洋服を定期的に捨ててしまう事に対して、「エコじゃない、罪悪感を感じる」といった感覚を抱えている方もいたわけです。それら潜在的なニーズを「メチャカリ」が解消していたんです。今後はそのようなニーズに対してさらに、この洋服、こういうコーディネートはいかがですかという提案をしていきたいと思っています。今は、その提案力の強化に注力しています。

―他にも新たな取り組みとして進められていることはありますか?

澤田:最近では、「メチャカリ」で借りた洋服を返却する際に、お客様が感じる手間を解消したいという想いから、二次元コードを利用して簡単に返却できる機能を追加しました。例えば、返却時にコンビニで、メチャカリアプリに表示される個別の二次元コードを専用端末にかざすと、受付票が出てきます。それを店員さんに渡して発送伝票を受け取り、荷物に貼って送るだけでいいんです。伝票に自分で記入する手間が省けるわけです。

そのほかにも、多様なニーズや課題解決に向けてアンテナを張り巡らせています。それらに対して、今後もAMSさんと積極的に取り組んでお客様がより便利に洋服を着ることを楽しんでもらえるようにサービス創出し、アパレル業界を活性化していきたいと考えています。

―「メチャカリ」を中心に貴社のライフスタイル&テクノロジーの考え方は、これからさらに大きく成長していく事業だと確信していますので、弊社もパートナーとしてご協力させていただきながら、新しい事業やサービスの創出をご一緒させていただきます。本日はありがとうございました。

【株式会社ストライプインターナショナル】
本社所在地:岡山県岡山市北区幸町2-8
本部所在地:東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー18階
設立:1994年6月
代表者:石川康晴
事業内容:アパレル衣料品・バッグ・靴・貴金属、その他雑貨の企画、製造、小売販売および飲食店舗の運営
コーポレート:https://www.stripe-intl.com/
メチャカリ:https://mechakari.com